着なくなった浴衣を、あっぱっぱに ── 切らずに生かす布の知恵

大阪 平野区で着付け教室・和裁教室・出張着付け・お着物相談をしている着付けと和裁〜いろは〜の吉田さきです。

ある日、生徒さんから届いた1通のLINE。 ケガのため和裁教室をお休みされている間に、浴衣生地を使ってあっぱっぱを作ったというメッセージと一緒に、素敵に仕上がった写真が添えられていました。

その制作意欲に心が動かされ、私も思わず「作ってみよう」と着なくなった浴衣を探し始めたのが、今回のあっぱっぱ制作のきっかけです。

生徒様が全て手縫いで仕上げられました

思い出と布が息を吹き返す瞬間

今回使ったのは、あまり着る機会がなかった浴衣。 何度か袖を通した記憶のある浴衣を広げてみると、どこか懐かしさと愛おしさが込み上げてきます。
パーソナルカラー的に合う色の浴衣を一生懸命探した思い出の浴衣です。反物で購入し誂えたのですが、着てみると、思っていた感じとは違う印象を受けました。
カラーが合うと言っても柄の大きさや柄の色の配分などで変わってくる。そんなことも勉強になった一枚でもありましたのでとても思い出深い浴衣です。
それを丸ごと受け入れて、形を変えて新たな日常へと送り出す──そんな布との対話が始まりました。

リメイクする前に浴衣として着てみました

あっぱっぱとは?ワンピースとの違いは?

私はあっぱっぱとは言葉として聞いたことがあったものの、ワンピースとの違いなど何かも知りませんでした。
この機会に調べてみると以下の特徴があることがわかりました。


👘あっぱっぱの特徴

  • 伝統的な日本の家庭着:昭和期に広く使われた、動きやすくて着脱が簡単な日常着
  • シンプルな形とゆったりしたシルエット:直線的で重ね着しやすい作り
  • 素材の柔らかさ重視:通気性の良い綿や浴衣地を使うことが多い
  • 機能性優先:掃除や料理など家事をしやすいようデザインされていた

👗ワンピースの特徴

  • フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンに対応:お出かけ着にもなる
  • 洋服のカテゴリ:トップスとスカートが一体化したドレス型の服
  • デザインの多様性:フィット感、丈の長さ、ネックラインなど流行を反映しやすい
  • 装飾やスタイルを重視:レース、プリント、生地の変化などで個性が出せる



一言で言うと
あっぱっぱは「暮らしに寄り添った和のワークウェア」、
ワンピースは「ファッション性も楽しめる洋のデイリーウェア」
といったところでしょうか。

あっぱっぱの歴史的背景

  • 誕生は1923年(大正12年)頃  関東大震災後、婦人之友社が「簡単服」として販売を開始。大阪では「アッパッパ」として広まりました。
  • 女性の洋装化を促進  当時は和装が主流でしたが、アッパッパは帯がなく、着脱が簡単で涼しいため、庶民の夏着として急速に普及。女性解放の象徴ともされました。
  • 素材と形状の工夫  木綿やサッカー生地など、通気性の良い素材を使用。裾が「パッパ」と広がる様子から名前がついたという説もあります。
  • 昭和初期には全国的に流行  特に1929年の猛暑で「清涼着」として注目され、家庭着から外出着へと進化。後に「ホームドレス」「ハウスドレス」と呼ばれるようになりました。

型紙に頼らず、浴衣の構造を活かす

この制作では、浴衣をすべて解いてしまうのではなく、 袖と衿のみを解くだけです。
縫うところも少なく、衽(おくみ)の端同士を縫い合わせて身頃をつなぎます。
衿まわりは三つ折りにして縫い、裾は好きな長さに上げて縫うだけです。
衿は開いている部分を閉じてベルトにしました。

つまり、生地を切ることなく形を変え、また浴衣へ戻すこともできる仕様。 まるで布が「元の自分に帰れる道」をちゃんと残しているようです。

袖と衿を解いたところ

これは“昔の人の知恵”なのかもしれません

この手法は、型紙に縛られず、布の形を尊重しながらも自由に活かすもの。
「解きすぎない」「切らない」「縫い目を工夫する」
そんなしなやかな工夫に、昔の人の知恵を感じました。

再生可能で、余白を残す──それは布にとっても、作り手にとっても、どこか豊かで心地よいやり方のように思います。

あっぱっぱは、暮らしの布

できあがったあっぱっぱは、ふわりと体に寄り添い、風を通しながら心を包んでくれるよう。 浴衣の柄や質感はそのままに、新たな暮らしの中へと馴染んでくれました。

布が変わることで、私の気持ちも少し変わった気がします。 今まで「着なくなった」と思っていた浴衣が、「また着たいもの」へと変わっていく感覚── それは、物との関係をゆっくり見つめ直す機会でもありました。



家族の反応

子供たち(娘2人と息子1人)は見るなりいきなり『ママ可愛い〜!』
夫は『それ、ええやん』 でした^^
洋服にはない柄が珍しくて良いのかもしれません。

家着として着るつもりでしたが、陽が落ちてから外に着ていくことも抵抗なくできました。
気を付けるとすれば、脇が結構空いているので(脱ぎ着がしやすいように)中に着るインナーに気を付けることくらいです。

ワークショップしたいな

きっと家に、着なくなったけど捨てられない浴衣がある方って多いのではないでしょうか?
ですので、その浴衣を活用させて上げて欲しいので、近々ワークショップをしようと計画中です!
日程の公表はInstagramにてさせて頂きますので、フォローよろしくお願い致します!

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